技術者に聞く | 組みたて有機くん
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設置事例
プランターの増設やオリジナルの形状をご希望される場合は、各パーツの必要な数量や価格についてサポートさせていただいております。どうぞお気軽にお問い合わせください。

有機くん開発に至った経緯などをお聞かせください。

 私共は産業廃棄物収集運搬用のコンテナを主として製造、販売していますが、これについて鳥栖工場の営業マンが「コンテナに土を半分程入れて家庭菜園とか花壇として公団住宅やマンション、一般家庭などへレンタルしたらどうでしょうか?」との提案を社長にしました。が、その場では軽く聞き流されたそうです。ところが数日後、浜松工場へ行ったところ、女子事務員から「社長、このコンテナに土を入れて野菜を作ってみてもいいですか?」と偶然にも佐賀県と静岡県という別々の工場で同じような発案を聞き、これは新商品になるかもと考え直されたそうです。
鉄製では運搬も大変で、植物に熱等の弊害も出るのではと色々考えた結果、軽量で簡単に運べてどうせ作るなら世の中に存在しない「組立式の大型プランター」が良いのではとの判断で、「軽量、大型、しかも屋上やベランダへの設置も可能」な組立式のプランター(2t-4㎥ のコンテナ同等の大きさのもの)開発に取組むようにと指示が下ったのが経緯です。

実際開発を始めてみてぶつかった壁は、たくさんありましたか?

1)2t-4㎥相当の形状。(1,350W×2,350Lの大きさに対して)
2)軽量で組立式となれば当然材質はプラスチック製。
3)私を含め設計、工場社員も鉄製品には知識も豊富ですが、プラスチックに関しては全員素人同然。
4)金型はある程度予想出来るが、射出成形等には知識がない。
以上のような状況下で取りあえず完成予想の立体図をラフに描き、佐賀、福岡、熊本のプラスチック業者を呼び、実現の可能性と分割方法のアイデア等々探りながら検討を行いました。
正直、当時はプラスチックに様々な材質が存在することも知りませんでした。並行して各種工場見学をしつつ、 素材と構造についての知識を少しずつ急速に増やしていきました。
結果として金型の製作寸法は一辺400m/mから450m/mが限界であり、この寸法を基準に先ず手作りで800W×1,600L×400Hの模型を作ることにしました。板材に補強リブ等を接着するため接着強度の出るABS材を使用し、組込み合わせ面はすべてボルト取りとしました。
(模型を組みあげてみた結果での問題点)
1.中に土を入れた場合、側板が土圧に耐えきれない(たわみが大きい)
2.ボルトの数が多くて、お客様はとても受け入れてくれない。
3.耐強度を考慮した上での材質の選定が重要である。
4.補強と組立方法の再検討を必要とする。
以上の問題点を抱えスタート時点へ逆戻り、振り出しへ戻ってしまいました。

それらの問題点をどの様に克服されたのでしょう?

問題点に対して設計担当は資料を片手に底板と側板の土圧と耐強度の検討、及び側板深さに応じた板厚、補強の形状、配置を想定の範囲で図面化をしました。又、金型についての最大寸法も考慮する必要性が伴い、プラスチック加工業者の協力も得ながら試行錯誤を繰り返す毎日が続きました。そしてこの中で最大のネックとなったのが、「ボルトを使わずに組立てを可能にする」こと。頭では子供のオモチャをヒントにブロック式に嵌合させることは浮かぶものの、底板,側板,連結ポール,コーナー及び上部固定をすべて嵌合で固め、なおかつ、強度を保持する条件が必要なことで形状を決定するのは簡単ではありませんでした。設計は強度を重点において三次元で組み合わせ、製造はユーザの使い勝手を最優先に考え、ボルト無しですべての部品を連結し一体化させることを目標に連携を取りながら形にしてきました。こうしてプランター本体の形が決まり、その後シートの取付けを検討しビニールとメッシュの2重シート(社長からの提案・指示による)をパイプ枠に差込み固定することで、本製品の全体形状がほぼ完成となりました。

商品化には、どのくらいの歳月がかかったのでしょう?

ご覧の様なステップ・バイ・ステップで、
延べ25ヶ月ほどを要しました。商品化への道のり

深さももちろんですが、高さ(シート)の設定も難しかったのでは?

深さについては当初400~450m/mで計画していましたが、根菜類の栽培が可能な深さを確保するよう社長からの指示を受け、ダイコン,ニンジンまで植えられる深さ「550m/m」と設定しました。しかし計画より100m/m深くすることによる側板に対する土圧の影響を心配しヒヤヒヤしましたが、一部の補強で完全にクリアすることができました。又、シートの高さに関してはキュウリ、インゲン豆等のつるもの及びオクラ等を想定しプランター上部から1800m/mの高さで設定しました。より高くすることは可能ですが、巻き上げ巻き下げの作業性と風圧対策も考慮しての妥当な高さ設定です。

どういった方々に使っていただきたいですか?

保育園・幼稚園,小中学校
団塊世代と養老院,施設等 
各家庭
役所,学校,各企業
マンション,病院等
商店街
飲食店,ホテル等
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体験学習教材及び食育
趣味と実益及び隣近所との交流
野菜作り体験と家族のコミュニケーション
夏場のグリーンカーテン
屋上設置による下の階への寒暖保護
ストリートガーデン
植裁や花壇

今後の拡張性など、さらなる開発のご予定はありますか?

現状のものをお客様が菜園や花壇にと使用していただく中で色々なご意見、ご要望が出てくるものと考えられます。我々メーカーとしては可能な限り対応して行き、改良・改善に努力致します。例えば葉野菜や花だけしか植えないお客様に対しては用土を少なくする目的で上げ底タイプにするとか、側板を必要な高さに変えるなどニーズに合わせた商品に近づけることを考えています。
もちろん、菜園用のプランターだけではなく、この商品そのものが全く違った用途にも活用出来るのではと、様々なパターンも想定しています。決して現状に満足することなく、お客様の声を有効に活用させていただき進化させることを念頭において今後も開発に取り組んでいく所存です。